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執筆者の写真竹内 明仁

「経営に活用できる会計とは?」-①

今は、個人および個人事業主の確定申告の真っ只中ですね。

私は毎年自分で処理しておりますが、そろそろ会計事務所にお願いしようかなと考えているところです。


企業の場合は、確定申告に必要なのが決算書であることは周知の通りです。

中小企業に提出義務がある「貸借対照表(B/S)」と「損益計算書(P/L)」

仕事柄これらの書類を見る機会が多いのですが、つくづく税金徴収のための書式だなぁ~といつも感じます。

確かに書式を統一しないで各社バラバラの方法で決算書を提出されても税務署は混乱するだけですから無理もないのですが…。

そして、金融機関や株主も同じもので企業のレベルを判断します。


しかし、はっきり申し上げますと、今の会計制度では利益を創り出す会計としては使えません。つまり目的が対外報告のため、経営に活用することとは関係ないのです。

単なる「対外報告書」と割り切った方がいいと思います。


決算書の中の「損益計算書」を見てください。月次試算表でも構いません。

そこには「利益」と名の付く項目が5つあります。(売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益)

「これらの各利益を見せてください」と言われたら、見せられるでしょうか?

誰にも見せられませんよね。なぜなら、これらの利益は計算上の利益、つまりただの「差額」だからです。


もう一つの決算書「貸借対照表」はどうでしょうか。

よく「自己資本比率」は高いほどいいという声を耳にします。本当にそうでしょうか。

自己資本を表す「純資産の部」の合計金額は、資産合計ー負債合計の差額です。差額は目に見えません。つまり、実態がないことになります。

自社の貸借対照表を見る上で重要なポイントがあります。

貸借対照表には「絶対額と評価額の2種類の金額が混在されている」という点です。

「絶対額」とは"現金そのもの”かいずれ“その金額で現金になるもの”あるいは"その金額で支払うもの”です。


「評価額」とは、ある一定の決まりに従って計算された金額です。

「棚卸資産(在庫)」を例にとってみましょう。

この金額は当初計上した通りの金額であったものが売れ残り、デッドストック等として残っている場合が多々あります。そうすると、当初の金額より評価額が下がる筈なのに、時価に評価替えしているケースがどれだけあるでしょうか。


製造業や建設業で決算計上する製品・仕掛品・未成工事支出金(仕掛工事)などの棚卸資産も評価額そのものです。その中には、当期の期間費用である労務費や製造経費、現場経費が含まれています。

本来、当期の期間費用として処理されるべき金額が在庫を差し引くため翌期に繰り延べられ、その分実体のない見かけ上の利益が増加します。

在庫が増えるほどに売上原価が下がり、利益が増える理由がここにあります。

粉飾決算に最も利用されるケースですね。

固定資産の土地は時価が上がろうが下がろうが購入した時の金額で表示され、建物・機械装置などは、税法で定められている減価償却費を差し引いた“計算上の価値”で表しているに過ぎません。


もう一つ、貸借対照表を見る上で重要なことがあります。

それは、そこに表示されている資産の部の中には「資産価値のない一時的に繰り延べられた費用が載っている」ということです。

「前払費用」「一括償却資産」「繰延資産」などです。税務上損金(費用)として認められないものが、資産に計上されています。そしてその分、当然ながら「差額の自己資本(純資産)」が増えることになるのです。


このように、貸借対照表は企業の資産・負債・純資産を真の情報を表しているわけではありません。会計という分類集計方法に基づいた「残高表」に過ぎないことになります。


従って、財務体質を分析したりこの先の資金繰りを考える場合には、決算書の表示額ではなく「絶対額」で考えなければなりません。同時に、貸借対照表を基にした経営分析値・自己資本比率・総資本経常利益率・流動比率などは参考程度に留め、経営者が「この先どうする?」の意思決定に使える会計の仕組みを取り入れることをお勧めします。


「では、どのような仕組みに変えたらいいか?」については次回以降お伝えしていくことにしますね。







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